今回は、趣向を変えて、文法について若干触れてみようと思います。
毎回、基本動詞を1つづつ取り上げていますが、活用のややこしさに面食らっている方も多いのではないでしょうか。
フランス語の最大の特徴は、明晰さと美しさ(明晰さがもたらす美しさと音の美しさの両方)だと思います。
確かに英語に比べてもはるかにフランス語の活用は複雑なのですが、これがフランス語の明晰さにつながるのです。
言い換えれば、曖昧さを許さない厳しさがあります。
一方、音の美しさは、リエゾンやエリジオン等はもとより、同じ言葉を繰り返さない(違う言葉や代名詞に置き換える)といったこだわりなどから生み出されるものでしょう。
従って、正確なフランス語を習得する為には動詞の活用は避けては通れませんので、ある程度基本中の基本の動詞をご紹介した今の段階で、その活用のしくみについて簡単にお話しておきます。
興味を持って例文をご覧頂いていた方であれば、「どうしてこの文ではこの動詞、この形なんだろう」などという疑問が湧いてきたりということも出てきていると思いますが、そういったところから文法に入っていくのが一番だと思いますので。
まず、フランス語の動詞には「法」と「時制」というものがあります。
「法」というのは、話の内容が、事実に基くものなのか、あるいは仮定や可能性、願望等の話者の主観なのかを表すものです。
「時制」というのは文字通り、話の内容が現在の事なのか、過去・未来の事なのかを表すものです。
各動詞は、法と時制の組み合わせによって活用変化します。
解り難いので、表にしてみます。
(例として、既にマガジンでも取り挙げた動詞
"donner"(与える)の一人称の活用を併記しています)
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法 |
| 直説法 |
条件法 |
接続法 |
| 時制 |
現在時制 |
直説法現在形 <je donne> |
条件法現在形 <je donnerais> |
接続法現在形 <je donne> |
| 過去時制 |
直説法複合過去形 <j'ai donné> |
条件法過去形 <j'aurais donné> |
接続法過去形 <j'aie donné> |
| 直説法半過去形 <je donnais> |
接続法半過去形 <je donnasse> |
| 直説法大過去形 <j'avais dooné> |
接続法大過去形 <j'eusse donné> |
| 直説法単純過去形 <je donnai> |
|
| 直説法前過去形 <j'eus donné> |
| 未来時制 |
直説法単純未来形 <je donnerai> |
|
|
| 直説法前未来形 <j'aurai donné> |
つまり、各動詞には、上記の表の「直説法現在形」「条件法過去形」など、「〜形」の数だけ形があるということです。(実際は、命令形や分詞等がこれに加わる為、これより多くなります)
全ての動詞の基本になってくるのは、英語の現在形に当たる「直説法現在形」です。事実に基く現在の話ということですね。マガジンで取り上げている活用もこの形です。
"donner"の例でお解りの通り、全ての形に直説法現在形の語幹"donn"が含まれており(例外もあります)、変化には法則がありますので、まずはこの直説法現在形を押さえることが第一になります。
その直説法現在形ですが、人称による語尾の変化の仕方に、いくつかの型があります。
まず最も多いのが一般的に「er型動詞」と呼ばれる、語尾が"er"の動詞群です。"donner"もこれに含まれます。
"donner"の活用は
| 私 |
je donne |
私達 |
nous donnons |
| 君 |
tu donnes |
あなた(達) |
vous donnez |
| 彼 |
il donne |
彼等 |
ils donnent |
| 彼女 |
elle donne |
彼女等 |
elles donnent |
でしたね。
語尾だけ取り出してみると
| 私 |
e |
私達 |
ons |
| 君 |
es |
あなた(達) |
ez |
| 彼 |
e |
彼等 |
ent |
| 彼女 |
e |
彼女等 |
ent |
となります。
これが"er型動詞"の語尾変化です。
前回取り挙げた"gagner"も語尾が"er"で終わっていますね。
"gagner"の活用は
| 私 |
je gagne |
私達 |
nous gagnons |
| 君 |
tu gagnes |
あなた(達) |
vous gagnez |
| 彼 |
il gagne |
彼等 |
ils gagnent |
| 彼女 |
elle gagne |
彼女等 |
elles gagnent |
でしたね。
全て、"donner"と同じく"er型動詞"の語尾変化をしている事がお判り頂けると思います。
これを念頭に置いてこれまで取り挙げた動詞を見ると、
"regarder"
"trouver"
"porter"
"laisser"
"marcher"
"passer"
といった、多くの動詞がこの型の動詞であることが判りますね。
ただし、同じ"er"で終わる動詞でも"aller""appeler"など、不規則に変化するものもあります。ですが、これらは圧倒的に少数派ですので、これらを覚えておけば、それ以外の"er"で終わる動詞は全て同じ変化をしますので活用するのは非常に簡単だということです。
HPの「日常会話」のカテゴリからこれまで挙げた動詞を参照できますので、"er"で終わっている動詞の活用及び例文を、是非この機会に再度ご覧頂いて、確認してみられることをお勧めします。
例文は、なるべく直説法現在形で挙げたいと思っていますが、それでは会話に壁を作ってしまいますし実用的ではないので、中には他の形を使ったものも含まれています。
訳文と照らし合わせながら、これはこういう内容だから直説法現在形が使われてるんだな、これは直説法現在形とは語尾が違うし過去のことを言ってるから過去時制のどれかだな、というように気を付けて見るようにしてみて下さい。
フランス語の動詞ではこの「er型動詞」が非常に多いのですが、他にも覚えておくと便利な型がありますので、次回触れたいと思います。
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